前回の記事では、人間の性格タイプは4つに分けられるという話をしました。
まだ見ていない方は、先に読まれることをオススメします。
今回は、介護現場においての、タイプ別に見たスタッフへの関わり方についてお伝えしていきます。
以下のような悩みを抱えている人はぜひ参考にしてみて下さい。
「あの人とは合わない、同じ現場に入りたくない…」
「上司が聞く耳持ってくれない!」
「新人教育がうまくいかない…」
「見ていてイライラする…」
今回は4タイプについて、それぞれの特徴や対応の仕方を掘り下げて紹介していきます。
へー面白そうですね。
性格的に合わなそうな人への対応は興味あるかも!
この記事では、何かをお願いするときの頼み方や注意の仕方、褒め方などをタイプ別に具体的に解説していきます。
タイプごとの詳細と具体的なコミュニケーション方法を知ることで、人間関係のストレスが減り働きやすくなります。
もちろん他の職場や私生活でも役立ちます。
人間関係を円滑にし、充実した楽しい毎日を過ごせるようにしていきましょう。
1. コントローラー
基本の対応スタンス
「コントローラー」の人に対しては
”要件を簡潔に伝える”
”上から目線で指示や命令をしない”
を意識してください。
効率重視で無駄が嫌いなので、会話のときには、結論から単刀直入に伝えた方が好感を持ってくれます。
長々と話をすることや回りくどい伝え方は、このタイプの相手を特にイラ立たせるので控えましょう。
自分の意見をなかなか言わない人に対しては、優柔不断と感じてしまい快く思いません。
考えをはっきり伝えるようにしましょう。
意見を話すのが苦手な人は、まずは賛同的か否定的かを伝えるだけでもよいです。
わからないときは、素直に「わかりません」と伝えてください。
黙ったままでいるのはNGです。
また、自分で物事を進めて結果を出したい欲求が強く、誰かの言いなりになることを嫌います。
何かを頼むときは、指示や命令ではなく、お願いや相談といったコミュニケーションをとりましょう。
自分の意志で動いてもらえるように促していくと、反発精神を持つことも少ないので、業務がはかどります。
「コントローラー」の人はテキパキしてて業務も上手く回せそうだけど、少し気難しそうな感じもする…
芯がしっかりしてるけど、少しせっかちな面もあるから、要点を抑えて手短に伝えることは大切かな。
限った話じゃないけど、特に「コントローラー」に対しては上から目線にならないよう注意が必要だね。
何かを頼む、お願いするときの伝え方
指示命令ではなく、お願いや相談というかたちで頼みましょう。
お願いする際は、なぜそれを頼むのか合理的な理由を簡潔に伝えられると良いです。
🔷例1. オムツ交換のお願い
悪い例「A(利用者)さんのオムツ交換やってきて」
良い例「私はBさん(利用者)のトイレ誘導するから、あなたにはAさん(利用者)のオムツ交換お願いしてもいい?」
介護現場では些細なことだと思いますが、こういうやり取りの積み重ねが「コントローラー」タイプの信頼を得ます。
頼られること自体は好きな場合が多いので、頼み方を間違えないようにしましょう。
🔷例2. 新人教育のお願い
悪い例「○○君、中々自分から動けないから、あなたからも教えてあげて」
良い例「○○君、まだ自分から動けないんだけど、どうしたら動けるようになると思う?」
相談して教えてもらうというスタンスで伝えると、「コントローラー」タイプの人は自身の考えをしっかり持っているので、意見を話してくれやすいです。
その意見を尊重し「そのやり方いいかも!一回試してみてくれる?」などのお願いの言葉を伝えると、納得してくれやすく信頼も作れ、行動に移してくれやすいです。
感謝の伝え方、褒め方
結果や事実に焦点を当てて伝えましょう。
相手を労うような言葉を掛けるより、事実として良かったことを伝えてあげてください。
🔷例1. 夜間の緊急時対応への感謝を伝える
悪い例「昨日は忙しい中で大変だったと思うけど、対応してくれて助かった!本当にありがとう!」
良い例「昨日の緊急時対応、対応が適切で連絡も早くて良かったよ、ありがとう」
悪い例も一見良くみえるんですが、「コントローラー」の人には良い例のほうが響きやすいです。
「コントローラー」気質の人は誰かにコントロールされることを嫌うので、大げさに褒められると「何か裏があるんじゃないか?」と疑ってしまいがちです。
さらっと感謝の言葉を伝えるに留めましょう。
🔷例2. 新人教育を頑張っているスタッフへの褒め
悪い例「新人の○○さん、あなたはいつも熱心に指導してるね」
良い例「あなたが担当してる新人の○○さん、最近自分から動けるようになってきたね」
過程より結果を褒めましょう。
結果とは、その人の行動が周りにどんなプラスの影響を与えたかです。
それを事実として伝えましょう。
改善を促すときの指摘の仕方
ミスしたときは、単刀直入に事実だけを伝えましょう。
長々と話さないように。変にお説教したりは必要ないです。
🔷例1. 服薬ミスがあったときの指摘
悪い例「朝食後の服薬ミス、なんで起きたと思う?夜勤明けで疲れてたかな?
薬の事故は利用者の命に直結するから繰り返さないようにね」
良い例「朝食後の服薬ミス、繰り返さないように気を付けてね」
ミスを自覚している場合は、本人が誰より悔しい気持ちを感じているので、事実の指摘のみです。
後は自分で改善しようとします。
改善方法が分からないときは聞いてきてくれるので、そのときに提案として意見を伝えましょう。
ミスを自覚できていない場合は、次の例の考え方を試してみてください。
🔷例2. 優先順位(例えばトイレ誘導を先にやって欲しい)の考えを改めてもらうときの指摘
悪い例「それやるのは後でも大丈夫だから、Aさん(利用者)を先にトイレ誘導してね」
良い例「Aさん(利用者)、いつも1人で立ってトイレ行こうとするね。優先して早めにトイレ誘導してみるのはどうだろ?」
何かやり方を変えて欲しいとき、「コントローラー」の人は自分で納得しないと動いてくれません。
「~のやり方でやって」と伝えるより「こういう理由だから~のやり方で試してみたらどう?」と、選択肢を与えるような伝え方のほうが、自身で納得してくれやすく行動を変えやすいです。
選択肢を与える伝え方でも改善しない場合、合理的な理由を端的に説明してやり方の改善を求めるしかないです。
介護の場合、やり方の正解は1つではないので、変にこだわる必要もないかもしれません。
それでも改善も求めないといけない場面では、ストレートに伝えて議論するのが一番効果的です。
変に遠慮したり、曖昧な伝え方だと逆効果です。
「コントローラー」は、はっきり意見を伝えてくれる人に対してのほうが好感を持ちやすいです。
モチベーションが上がる仕事
判断が早く決断力もあるので、現場のリーダーとしては適任です。
時間配分を考えながら効率よく動いて、必要に応じて指示を的確に出せます。
緊急時でも、持ち前の判断の速さで迷うことは少ないでしょう。
手際がいいので、いろいろな面で仕事が速いと感じると思います。
しかし、性格タイプ的に人の心に寄り添うのが苦手なため、優先順位が、業務>利用者になりがちです。
もちろん業務を回すのはとても重要なことですが、そこに重きをおきすぎて利用者への対応が雑になってしまうようであれば介護職として本末転倒なので、修正が必要です。
成熟した「コントローラー」であれば、利用者へのコミュニケーションを上手くとりながら、滞りなく業務を回してくれるでしょう。
業務を回すのは大切だけど、そればかりに考えがいきがちになるのは避けたいですよね。
人手の少ない職場が多いから仕方ない部分もあるけど、介護士の本分は忘れないようにしないとね。
「コントローラー」タイプの人は教えることが好きな場合も多いので、指導役を任せてみるのもいいです。
口では嫌だと言う人でも、実際やってみると結構やる気で取り組んでくれたりします。
ただ、「コントローラー」は自己主張が強く、他人の気持ちを汲み取るのが苦手な傾向にあります。
一方的に意見を押し付けたり、相手の話を否定したりばかりにならないよう注意は必要です。
褒めるのが苦手だったりもするので、些細なことでも「ありがとう」「助かったよ」などの承認の言葉を掛けられるよう、常日頃から心がけてもらいましょう。
自分の思った通りに物事を進めたい気持ちが強いので、途中で口を挟まれたりするのは嫌いです。
どんな仕事でも任せたら、その後は結果が出るまで余計な口出しはしないようにしましょう。
ただ任せきりで暴走しても困るので、報告だけはしてもらうよう約束してください。
2. プロモーター
基本の対応スタンス
「プロモーター」の人に対しては
”ポジティブなリアクションをしっかりとる”
”どんなときでも相手をとりあえずは肯定する”
を意識してください。
自分が注目されるのが好きで、自分の話をするもの好きです。
楽しいことが好きなので、夢やビジョンを示しながら動いてもらうとより成果が出やすいです、
他人に影響を与えていると感じると喜ぶので、大きく頷いたり「すごいじゃん!」というようにリアクションをオーバーにとってあげると、本人のやる気も上がります。
とりあえず褒める、というのが基本スタンスですね。
反面、自身の考えや行動を否定されると大きく落ち込んでしまいます。
楽しさや斬新さを重視して様々なアイディアや意見を出してくれますが、たとえ微妙だと感じたとしてもいったんは肯定してあげることが大切です。
頭ごなしに否定するのは、大きくモチベーションを下げてしまうので避けましょう。
また、細かい事柄や確認が苦手な傾向にあります。
許容できる部分は許容し、あまり目くじらを立てないようにしましょう。
飽きっぽい性格でもあるので、仕事を任せるときはチェックできる仕組みを作りましょう。
「コントローラー」同様、任せた仕事に対して口を出されるのをあまり良く思いません。
しかし、任せきりにしておくと、最後までやりきれず中途半端な状態のままになってしまうことがあります。
褒められるとモチベアップはその通り!
「プロモーター」の私が言うから間違いない!
ちなみに私みたいなのばかり集まると、みんな自分の話ばっかで意見まとまらないから注意してくださいね!
説得力があるような、ないような…
何かを頼む、お願いするときの伝え方
何かを頼むときは、楽しいイメージを想起させるようなお願いの仕方が効果的です。
少しテンション高めな感じだと、相手も乗り気になりやすいです。
🔷例1. レクでの飾り作りのお願い
悪い例「もうすぐ4月だから、掲示用の飾りをレクで作ってくれる?」
良い例「○○さんレク得意だよね!利用者と一緒に4月の掲示用の飾り作りお願いしていい!?
折り紙とか好きな利用者も多いし、すごい良い感じにしてくれそう!
上手くできたら広報にも載せるからね!」
本人への期待を含んだ頼み方だと、尚良いです。
あまり細かいことまで指示されるのは嫌いなので、裁量の範囲は大きくしてあげることも大切です。
🔷例2. イベント企画のお願い
悪い例「来月クリスマス会だけど、計画書出してくれる?
当日のスタッフの配置とかタイムスケジュールが分かるようにお願いね」
良い例「来月クリスマス会だけど(写真を見せながら)こんな感じにして盛り上げたいんだ!
○○さんに企画お願いしたい!ざっくりでいいから計画書作ってくれる?」
データや数字よりも、イメージが伝わりやすいカラフルな写真や図を用いて頼んだほうが効果的です。
大きい企画を頼むときはしっかりした計画が必要ですが、細かく練りこむのは苦手な場合が多いので、その点は他のタイプや上司がフォローするようにしましょう。
感謝の伝え方、褒め方
基本どんな褒め方でも大丈夫です。
褒めがそのままモチベーションアップに繋がります。
🔷例1. 頑張っている新人スタッフへの褒め
悪い例「仕事覚えるの早いね。この調子で頑張って」
良い例「仕事覚えるのすごく早いね!気づいたらリーダーになってそう!
この調子で頑張ってね!」
悪い例で紹介していますが、そんなに悪いわけでもないです😓
悪くないですが、「さすが!」「天才!」などの過剰な褒めのほうがより嬉しく感じてくれやすいです。
🔷例2. 体重のある利用者の移乗を代わりにやってくれた同僚スタッフへの感謝を伝える
悪い例「移乗代わってくれてありがとう」
良い例「さすが!すごい助かったわ、ありがとう!」
こちらも下の例のほうが、より良いという感じです。
些細な出来事であっても、日常的に褒めてあげるコミュニケーションがとれていると良いです。
改善を促すときの指摘の仕方
否定されることに弱いので、ミスをしたときでも、肯定しつつ改善案を伝えます。
🔷例1. 服薬ミスがあったときの指摘
悪い例「朝食後の服薬ミス、なんで起きたと思う?夜勤明けで疲れてたかな?
薬の事故は利用者の命に直結するから繰り返さないようにね」
良い例「いつもよく動いてくれるし、その調子で続けてね。
ただ服薬ミスは命に直結するから、次からは他スタッフとのダブルチェックは怠らないようにしよう」
ミスを指摘すると、どうしても否定的なニュアンスが出てきてしまいます。
やらかしの度合いにもよりますが、できるだけ承認の言葉を伝えつつ、叱るのは最小限に抑えましょう。
🔷例2. 優先順位(例えばトイレ誘導を先にやって欲しい)の考えを改めてもらうときの指摘
悪い例「それやるのは後でも大丈夫だから、Aさん(利用者)を先にトイレ誘導してね」
良い例「いつもよく動いてくれるね。
Aさん(利用者)毎回1人でトイレ行こうとするから、トイレ誘導を先にするとさらに動きやすくなると思うよ。期待してるから頑張って!」
やり方を変えて欲しいときもミスをしたときと同じで、肯定の言葉を忘れないように。
モチベーションが上がる仕事
変化に強く新しいことが好きなので、何か新しい取り組みを行うときは優先してお願いしてみましょう。
業務改善やレクイベント、ケアの実践、委員会活動、新人教育など、新しいことに挑戦するときにはやる気を出して取り組んでくれやすいです。
任せきりにしたほうが力を発揮できますが、飽きっぽいところがあり継続が苦手なので、ある意味扱いが難しくはあります。
最後までやり切れるよう他でフォローしたり、途中で他のタイプが役割を引き継いだりするほうが上手くいきやすいです。
成熟した「プロモーター」は、飽きっぽいことや計画性をもってやることが苦手なことを自覚しているので、その点を補ってもらいながら他のスタッフの指揮を高めてくれます。
飽きっぽいのと、計画性がないのは、我ながらその通りかも…
放っておくと、任せたことを最後までやり切れないときあるよね。
けど、勢いがあって皆を引っ張る力はすごいと思う!
介護の仕事は臨機応変な対応を求められますが、ルーティンワークにもなりやすいです。
新しいケア方法やレクリエーションを試すなど、飽きがこないよう工夫の余地を与えてあげましょう。
また性質上、どうしても利用料請求などの事務系の細かい業務は苦手意識を持ちやすいです。
逆に営業職としては強いので、家族やケアマネへの対応などでは良い印象を持たれやすいです。
注目されるのが好きなのと、皆を巻き込んで盛り上げるのが得意なので、レクリエーション系で頑張ってもらうのは効果的だと思います。
いろんなアイディアを出してもらいつつ、利用者を巻き込んで楽しい雰囲気を作ってもらいましょう。
根本的に細かいことや計画通りに物事を進めるのが苦手なことは念頭におき、承認の褒め言葉を伝えるコミュニケーションを行えば、大きく力を発揮できます。
3. サポーター
基本の対応スタンス
「サポーター」の人に対しては
”細かく気にかけてあげる”
”あなたがいてくれて助かっている、という感謝の気持ちを日頃から伝える”
を意識してください。
「サポーター」は人との協調性を最も重視します。
細かい気遣いができ、争いごとや競争が苦手で、周囲の合意を得て物事を進めたがります。
自分が他人からどのように見られているかに敏感で、認められたいという承認欲求が強い一面もあります。
挨拶を忘れず、当たり前のことでも日常的に感謝の気持ちを伝えることが、コミュニケーションとして大切です。
また、このタイプは他人の顔色をうかがい1人で抱え込んでしまう人が多いです。
「コントローラー」「プロモーター」の要素が強い人は、仕事を任せきりにした方が力を発揮できますが、「サポーター」タイプは任せきりにすると重荷に感じてしまう傾向にあります。
細かく確認して気にかけてあげましょう。
周囲の空気に合わせてしまうので、本音を話してくれにくいという面もあります。
本当の考えを知りたいときは、信頼関係が大切ですが、個別に時間を作り「これについてどう思う?」と考えてもらうような質問を投げかけると、本音を話してくれやすいです。
周囲への気遣いができて優しい人が多いけど、逆に1人で抱え込んでしまう人も多いから、マメなコミュニケーションが大切だね。
あんまり口出しして欲しくない「コントローラー」とは逆ですね。
何かを頼む、お願いするときの伝え方
人に貢献したい欲求が強いので「~が困っているから助けてほしい」というようなニュアンスで伝えるのが効果的です。
🔷例1. オムツ交換のお願い
悪い例「Aさん(利用者)のオムツ交換やってきて」
良い例「ごめん、今どうしても手が離せないから、Aさん(利用者)のオムツ交換お願いしてもいい?」
良くも悪くも断りにくい性格なので、基本的にはお願いを聞いてくれます。
実際は負担に感じているときもあるので、そのときの相手の仕事量や表情、声のトーンから状態を判断し、無理はさせないようにしましょう。
🔷例2. 新人教育のお願い
悪い例「新人の○○さんの指導、あなたに任せるね」
良い例「新人の○○さんの指導、私は◇◇さんを担当しているから、あなたに任せたいの。
もちろん私も手伝うし、相談にも乗るから困ったことがあれば何でも言ってね」
丸投げされると重責を感じます。
フォローをきちんとする、他のスタッフや上司と同意をとれていることなどを伝えると、安心してくれやすいです。
感謝の伝え方、褒め方
褒めより感謝のかたちで伝えたほうが喜びます。
🔷例1. よく動いてくれる同僚への感謝を伝える
悪い例「いつも率先して動けていてすごいね!この調子で頑張って!」
良い例「忙しい中で大変に感じることもあると思うけど、いつも率先して動いてくれて助かってるよ。ありがとう」
自分の能力より、人に貢献できていることを認められたほうが嬉しく感じやすいです。
また「コントローラー」は結果を重視しますが、「サポーター」は過程を大切にします。
結果に対する感謝や褒めを伝えるときでも、労うような声掛けを意識しましょう。
🔷例2. 利用者のケアが良かったと褒める
悪い例「Aさん(利用者)の移乗のやり方、上手で良かったよ」
良い例「Aさん(利用者)、「全然痛くなかった!」って君の移乗のやり方を褒めてたよ」
結果を褒めるときは、その人の行動によって周りの人がどう喜んでいるか、そのまま伝えると良いです。
「コントローラー」への褒めと少し似ていますが、「サポーター」には、特に人の役に立っているということを実感できる伝え方をしましょう。
改善を促すときの指摘の仕方
合意がとれていれば、納得してくれやすいです。
些細なことであれば普通にお願いするだけで良いですが、大きなミスをしたときの指摘や、どうしてもやり方を変えて欲しい場面などでは、しっかり説明し合意をとった方が良いです。
一方的な言い方だと、気になるところがあっても争いを避けるために、本心を隠してしまうことがあります。
🔷例1. 服薬ミスがあったときの指摘
悪い例「服薬ミスは命に直結するから、同じことは起こさないように。
他スタッフにダブルチェックするの忘れないようにね」
良い例「服薬ミスが命に直結する大きな事故なのは理解できてるね?」
「忙しかったと思うけど、ダブルチェックはできてた?」
ミスをしたときは何がよくなかったのかを丁寧に説明し、合間に「このことはわかる?」と確認の質問を入れて、認識の確認をしましょう。
例文だけでは伝わりにくいかもしれませんが、尋問するようなかたちでは逆効果です。
相手と一緒に気持ちを確認し合いながら、話を進めていきましょう。
🔷例2. 優先順位(例えばトイレ誘導を先にやって欲しい)の考えを改めてもらうときの指摘
悪い例「それやるのは後でも大丈夫だから、利用者のAさんを先にトイレ誘導してね」
良い例「Aさん(利用者)、いつも自分でトイレに行こうとするね?」
「先にAさん(利用者)をトイレ誘導しよっか?そのほうが僕や他のスタッフも動きやすくなると思うし」
やり方を変えて欲しいときは、周囲の人たちもそれを望んでいる、というニュアンスで伝えると納得してくれやすいです。
「そうしてくれると私も助かる」「上司もそう言ってた」などの言葉を選びましょう。
モチベーションが上がる仕事
「サポーター」という名の通り、2番手3番手のような陰で支える役割だと力を発揮しやすいです。
共感力が高いのでサブリーダーとして、スタッフのメンタルケアを任せたりするのはありです。
逆に、自分が中心となって皆をまとめるような役割は苦手な傾向にあるので、避けたほうが良いかもしれません。
一般に、リーダーのように先頭に立って動く役割は、他人の顔色をうかがってしまい決断ができないため不向きだと言われています。
しかし、成熟した「サポーター」であれば自身の弱い部分を自覚しており、本当に必要な場面で決断したり、あるいはサブリーダーのポジションにそれを補う「コントローラー」をおいたりして、リーダーを務めている人もいます。
気を遣うあまり、決断するのに戸惑うんだね。
誰だって嫌われたくないもんね。気持ちはわかるな。
実際に「サポーター」の人ばかりが集まると、お互いに遠慮して話がまとまりにくいこともあるんだ。
でも自分の考えがないわけじゃないから、本音を話しても大丈夫な環境作りが大切だね。
人との協調性を大切にするので、利用者とのコミュニケーションでも力を発揮できます。
話を傾聴し、利用者に寄り添ったケアに期待できます。
「コントローラー」「プロモーター」要素の強い人は、根本的に他人の話を聞くのが得意ではないので、この2タイプにはない「サポーター」の強みですね。
どのような仕事を任せても大丈夫ですが、周りで小まめに気にかけてあげられるような環境作りが重要です。
元々の性格的に、他人に指摘をするのが苦手なので、新人教育などを任せる場合は特にフォローが必要です。
自分が他者に貢献できている、気にかけてもらっていることが実感できていると、モチベーションを上げて取り組んでくれます。
4. アナライザー
基本の対応スタンス
「アナライザー」の人に対しては
”ノリや勢いで話を進めない”
”順序立てて論理的に話す”
を意識してください。
考え方が現実的で、客観的なデータやルールに価値を見出します。
マニュアルがあれば、できるだけそれに沿って業務をこなそうとします。
正しいかどうかが「アナライザー」の判断基準です。
話をするときは、理由と根拠をしっかり示してロジカルに伝える必要があります。
例えば、ケアの提案をするときには、なぜそれをやるのか、他に良い案はないかなどを「アナライザー」は気にします。
明確にしておきましょう。
いろいろなことを想定して考えるので、質問に対してすぐに答えられないことがあります。
しかし、考えがまとまると水準の高い意見を出してくれます。
答えを急かさないようにしましょう。
「プロモーター」とは対照的に、細かいことまで気にかける人が多い傾向にあります。
あまりに大雑把だと不快に感じるので、仕事が雑になりすぎないよう注意しましょう。
また皆の前で盛り上げたり、話をするのが苦手な人も少なくないです。
コミュニケーションは介護においても重要なことですが、気持ちは汲んであげるようにしましょう。
ノリと勢いでゴリ押すのは陰キャにはNGね!
「アナライザー」の僕が言うから間違いない!
ハイハイ、気をつけます…
何かを頼む、お願いするときの伝え方
理由と根拠を示して頼みましょう。
🔷例1. 夜間のオムツ対応の提案
悪い例「利用者のAさん、今晩はトイレ介助じゃなくオムツ対応でやってみて」
良い例「利用者のAさん、最近立位とれなくなってるし、トイレ行っても既にパットに出ちゃってること多いから、オムツ対応でやってみよっか。
本当はトイレで排泄するのが良いけど、本人やスタッフの負担も大きいと思うから試してみよう」
理由や根拠に加えて、できれば想定される反対意見へのフォローも入れて伝えられると、尚良いです。
🔷例2. 新人教育のお願い
悪い例「新人の○○さん、担当指導者はあなたにお願いするね」
良い例「新人の○○さん、新卒で未経験なんだけど、担当指導者はあなたにお願いするね。
3ヶ月で夜勤以外の勤務こなせるようにして欲しいけど、指導で付ける回数は少なめだから、1人で働けるよう優先して業務をやらせてあげて。
1ヶ月したら振り返り面談をして、方針の再確認をするからよろしくね」
長期で何かするときは、全体の目標を伝えておき、その中での役割と裁量を明確に示したほうが力を発揮しやすいです。
感謝の伝え方、褒め方
何が良かったのか、具体的に伝えるのが効果的です。
🔷例1. 記録がよく書けているスタッフへの褒め
悪い例「いつも記録詳しく書けててすごいね!この前のAさん(利用者)の記録も分かりやすかったよ」
良い例「Aさん(利用者)の夜間記録、分かりやすくて良かったよ。
バイタルの値だけじゃなくて、顔色とかやりとりの様子とか具体的で、ご家族の人にも伝えやすかった。ありがとう」
悪い例ですが、そこまで悪くはないです😓
ですが、良い例のほうがより具体的で、嬉しく感じてもらいやすいです。
表情には出ない人が多いですが、具体的に褒められると内心では結構喜んでくれています。
改善を促すときの指摘の仕方
ただ間違いを指摘するだけでは納得しません。
ミスがあったときは、何が原因だったのか事実ベースで考えてもらいましょう。
🔷例1. 服薬ミスがあったときの指摘
悪い例「服薬ミスは命に直結するから、同じことは起こさないように。
他スタッフにダブルチェックするの忘れないようにね」
良い例「朝食後の服薬ミス、なんで起きたと思う?」
「どうしてダブルチェックを怠ったと思う?」
「他のスタッフがフロアを離れていたなら、戻ってくるのを待って、それからダブルチェックして服薬に入ろう」
ミスの原因を本人に考えてもらうようにすると、納得もしてくれやすく、今後の行動が変わりやすくなります。
🔷例2. 優先順位(例えばトイレ誘導を先にやって欲しい)の考えを改めてもらうときの指摘
悪い例「それやるのは後でも大丈夫だから、利用者のAさんを先にトイレ誘導してね」
良い例「利用者のAさん、いつも自分でトイレに行こうとするね?
その作業はいつでもできるから、先にAさんのトイレ誘導をやろうか。
先にトイレ誘導終わらせておけば、作業も中断されにくくなるし、転倒リスクも低くなるしね」
何かやり方を変えて欲しいときも、頼む、お願いするときの伝え方と同じで、理由や根拠を示してあげましょう。
そこに正当性があると納得すれば応えてくれます。
「サポーター」にも丁寧な説明が必要ですが、本人が相手から気にかけてもらえていると感じてもらうことや、周囲も合意しているから大丈夫だよと伝えることを目的にしています。
「アナライザー」の場合、正しいかどうかが大事です。
なぜそうするのか、理由と根拠をはっきり示し、リスクヘッジにも言及して説明することが求められます。
モチベーションが上がる仕事
変化にあまり強いタイプではないですが、ルーティン業務をこなすのは得意です。
臨機応変な対応が求められる介護の現場ですが、意外とルーティンワークも多いので、慣れてくるとモチベーションが上がってくることがあります。
考えるのに時間が掛かり判断が遅くなりやすいので、現場の変化に対応できなかったり、緊急時の対応が難しく感じたりする人もいます。
しかし、リスクも含めて様々なことを想定する力があるので、経験を重ねることで他のタイプより素早く適切な判断が下せるようになります。
成熟した「アナライザー」は、マニュアル的な業務に沿いながら仕事をしつつも、イレギュラーな事態にも迅速に対応できます。
性格タイプ的に完璧主義である人も多いので、それも相まって仕事の抜けも少ないです。
コミュニケーションが苦手で、利用者との会話やレクリエーションで苦労したりする人もいます。
できるだけ話を傾聴したり、全体レクより個別レクを中心にやったりしながら、経験を積んでいくことが重要です。
無から有を作り出すのは不得手ですが、データを整理したり分析するのは得意なので、業務改善やマニュアル作りなどを頼んでみるのはありです。
事務職で考えてみると、利用料請求などの業務も適性がある可能性が高いです。
性格的に細かいことまで気に掛ける人も多いので、悪いことではないですが、それを押し付けすぎてないかは気にかけましょう。
僕、細かいこと言いすぎてないよね?
たまに面倒くさいですね…
5. まとめ
いかがだったでしょうか?
4タイプの特性を理解して、職場作りに活かしていただければ幸いです。
どのタイプも長所短所がありますね。
私は「プロモーター」だから、計画的にやるのとか細かいこと苦手だけど、大切なことではあるもんね。
それができる「アナライザー」の強みはすごいと思う。
タイプが違うのを「性格合わない」で済ませるのではなく、違うからこそお互いフォローし合えると考えるほうが、上手く人間関係を築いていけるよね!
注意点として、前回の記事でも書いたことですが、タイプ分けはあくまで傾向を探るものです。
1人のスタッフが複数のタイプの要素を持ち合わせていることはよくあります。
後天的に他のタイプの要素を身につけた人もいます。
ただ根本的な部分で、自分や周りの人にも強みや弱みがあります。
それを知ることは、仕事を円滑に進めるうえでも、良好な人間関係を築くうえでも大切です。
どのタイプの人がどんな役割を担っても、ダメだということはありません。
例えば、「プロモーター」の人が細かい事柄が苦手だという自覚があれば、それを意識して自力である程度気をつけられますし、他の人にフォローしてもらうこともできます。
自覚がなければ「この人とは合わないなぁ…」で終わってしまいますが、お互いの強みや弱みが分かっていれば、それを尊重して高いパフォーマンスを発揮できます。
ぜひ今後に活用していってください。
※更に詳しく知りたい人は、こちらを読んでみるのがオススメです。
図解 コーチング流タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく (コーチ・エィ監修コーチングシリーズ) [ 鈴木 義幸 ]
コメント 参考にしたいので、皆さんの職場のことを教えていただけると幸いです